燃えさかり消える花火のように、この恋が散ってしまえれば。
恋火
誰が言い出したのか、誰が持ち出したのか。夏の起こりに、買い込まれた両手いっぱいの花火。
みんなで集まって、ろうそくを立てる。
風がなびいて火が倒れないように囲んで、花火の先を近づけて。
ぱちぱちと広がる色とりどりの世界に、声が上がった。
「うわ、超綺麗!」
はしゃいだ声と共に立ち上がり、相葉が花火を振り回す。
ちらちらと光る火の粉が周りを舞う。
それを見ながら、櫻井も手に持った花火に火をつける。
ぱちぱちと赤や黄色や青が飛ぶ、眩しい世界。
思わず息をのんだ。
「綺麗だね」
いつの間にか横にいた大野が、櫻井の花火を見て呟いた。
櫻井は視線を花火から大野に向ける。
花火の光に揺れて見えて、はかなげに映って、せつなくなって。
小さく頷いて、声もなく大野の言葉に肯定を伝える。
途端、パチリパチリと、音を立てて花火は小さくなった。
「消えちゃったね…」
消えた花火からはもうなんの音もしない。
先から上がる黒い煙に、諦めたように櫻井は、その花火を水のたっぷり入ったバケツに突っ込むと、またさらに横の1本を掴んだ。
そうして火に近づけてまた明かりを灯した。
綺麗だねと呟いた、大野のために。
大野はそれを見るとまた感嘆の声を上げて。
それから自分の手に持っている火のともっていない花火を、櫻井の明るく光った花火に差し入れた。
途端に、大野の花火も櫻井の花火のように音を立てだす。
「もらっちゃった」
大野はそう言って無邪気に笑って。
櫻井はそれに上手く笑って、心の中で苦く痛い気持ちを膨らませた。
そんな風にして、この胸の火も、大野に移れば良いのに。
櫻井の花火は、パチパチと音を立てて、また緩やかに消えた。
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