神風戦隊アラシ 第3話




「はい、これ、変身道具ね」

相葉から櫻井に渡されたのは、ブルーの携帯電話と、ブルーの戦闘服。
手の上にドサリと音を立てて置かれて、気付く。

「…ちょっと待て」
「んなに?」
「普通戦闘服って、変身!とかって言ったら勝手に着替えてくれるもんじゃないのか?」
「ばっかだねぇ!翔くん。そんなの出来るわけないじゃん!」
「は?」
「あれはテレビだよ、テレビ!これは着替えるの。更衣室そっちね?」

指差された先に更衣室とかかれた扉。
いちいち面倒くさいんだなぁとぼんやり考えていると、相葉に1回着てみれば?と言われる。

「嫌だ」
「えーいいじゃん!着てよー!ねぇねぇ」

まるで駄々をこねるように言われて、それでも櫻井は断固として拒否をしていた。
すると、入り口が開いて、眠そうな顔をした大野が入ってくる。

「おはようございまーす…」
「あ、大野くんおはよー!」

入ってきた大野に相葉は、まるで櫻井に興味を失せたかのように近づいていく。
大野は抱きつくようにひっついてきた相葉を、たいして気にも留めず、眠そうに目をしきりにこすっていた。
そうして、相葉の向こうに櫻井の姿を見つけると、目を細めるように微笑んだ。

「おはよう、翔くん」

櫻井は、また少しだけ、胸を高鳴らせて。
そして挨拶を返した。

「…おはよ、智さん」

そう言って、軽く片手を挙げると、大野のほうを向いていた相葉がくるりと振り返った。

「さとっさん〜?」

大野にまとわりついていた身体を離すと、また櫻井のほうへ近づいてくる。
ほんの数日前、1度だけ出会ったはずの大野と櫻井の互いの呼び方が、まるで数年来の友人のように変化している。
それを見逃すまい、と噛み付くように櫻井は相葉問いただされた。

「うるせぇよ、どうでもいいじゃん」
「どうでもよくないよ!なんで?なんで?なんで仲良くなってんの?」
「…相葉ちゃん、うるさいよ」
「えー!大野くんまで!なんで、なんで!?」

大野は相葉に問い詰められながら、ちらりと櫻井を見る。
そうして。

「秘密だよね?」

と小首をかしげて、笑う。

「…うん」

その仕草に櫻井は、なんだよぉ!と騒ぐ相葉を横目に、跳ねる胸をまた押さえた。

…だから、この人、男なんだってば。



あの、一緒に食事を取った日から、実はたびたび、夕飯を一緒に食べることとなった。
作るのは、ほとんど大野のほうで、櫻井は悪いからと言って後片付けを担当したりすることのほうが多いのだが。
とりあえず、互いに1人だし、家も近いしということで、仲良くなりつつあった。
櫻井は思った以上にその状況が心躍るもので、戸惑っていた。
なんとなく、男だとわかっているのに、惹かれている自分がいるのに気がついて。
必死で自分に言い聞かせていた。

いくらちょっと、小動物みたいでかわいいからって、あれは俺と同じものなんだよ。
よく見なくったって、結構男らしい体つきもしているし、顔つきだって。

そう心で自分を説得しながらも、目が大野を追うのを櫻井はやめる事が出来なかった。