神風戦隊アラシ 第4話




ちゃっちゃらちゃららら〜ちゃんちゃん。

どこかで耳にしたような軽快な音楽が、鞄の中から鳴り響き慌てて探る。
取り出してみるとそれは先日支給されたブルーの携帯電話。
櫻井は慌てて通話ボタンを押して、叫んだ。

「なんで、笑点のテーマなんだよ!!!!」

叫んだ向こうからは対照的に、のほほんとした声が櫻井の叫びを無視している。

「もしもしブルー?こちらレッドでっす!元気〜?」
「元気じゃねぇよ!!」
「えーそりゃ困ったなぁ。出動なんだけど」
「…え?出動?すんの?」

あれから幾日も経っていると言うのに1度も姿を見せないKAT-TUNとかいう悪の組織が、どうやらやっとおでましのようだ。
大野から聞いた情報に補足するように、松本が櫻井に教えてくれた話によると。
カツンと大野は言っていたが、正式にはKAT-TUNというらしい。
6人組で、その名の由来は、名字の頭文字をとっただけという単純な話らしく。
横から、アラシの方がかっこいいよね!という的外れな意見を述べたのは相葉だった。
櫻井に言わせてみればどっちもどっちというか、両者微妙に恥ずかしさを感じる名前で、勘弁願いたいのだが。

「ちょっとーブルー聞いてる?今から着替えにこっちきてよー!ブルー待ちなんだから」
「あー…了解。けど、さ」
「ん?なに?」
「…あのコスチューム、どうしても着なきゃだめか?」
「…駄目に決まってんじゃん!早く来てね!バイビー」

…バイビーって。
櫻井はブルーの携帯を鞄にしまうと、ため息をついて、趣味の悪い建物に向かって歩き出した。




「俺、やっぱやなんだけどー…」

着くやいなや更衣室に押し込まれて、着替えを強要された。
仕方がなく着替えたものの、横にあった鏡に自分の姿を映して、脱ぎたくなった。
どうしよう、脱いじゃうか?と思った瞬間に、扉を開けられて、相葉が入ってくる。

「着替えたなら、さっさと出てきてよ!皆翔くんのコスプレ楽しみにしてるんだから!」

コスプレじゃねぇだろ!
そんな櫻井の突っ込みも虚しく、引き摺られるようにして、更衣室の外へと押し出された。

「うっわー案外、似合うね」

出てきた櫻井に、まずイエローの同じ服装をした松本が、声をかけた。
松本は、もう慣れているのかすでに諦めているのか微妙な所だが、普通に戦隊服に身を包んでいる。
似合うね、と言いながらも、口の端が笑っているのは、完全に面白がっている印だ。

「クールな割にヘタレなブルーって感じでお似合いですよ」

まじまじと見つめて来たのは同じくグリーンの戦隊服を身に着けている二宮。
さりげなく失礼なことを言われている気がして、櫻井は睨みつける。
が二宮はさして気にする風でもなく、ね?と横の大野に話かける。
櫻井は大野のほうを向くと、何故か緊張の面持ちで大野の反応を待つ。

「…翔くん、かっこいいね!」

にこり、と音がしそうな笑いつきで、そう言われて。
櫻井は思わず目尻を下げた。

「えー?そうかなぁ?」

松本と、二宮が顔をあわせるようにして、嫌そうな顔をする。

「なにそれ、反応違うじゃん」
「うるせぇよ!お前らのは褒めてんのか貶してんのか、わかんなかっただろ!」
「…それだけじゃないくせに」

鼻の下伸びてますよ、と二人に指摘されて、櫻井は慌てて口元を手で覆う。
大野は、櫻井が何を言われているのかあまり理解していないのか、不思議そうに笑っていた。

「ていうかさー、翔くんってさ」

そんな空気の中、今の今まで珍しく黙っていた相葉が。
ペタペタと櫻井の身体を触って。

「案外、デブだよね」

爆弾を落とした。

「…筋肉質っていえよ!!!!」

櫻井の血圧は下がりそうにない。



そして何故今、戦闘服に身を包んでいるのか。
その理由に全員が気付くのは、それから10分後のことだった。