神風戦隊アラシ 第5話




「神風戦隊アラシ!参上!」

4人の声が、街中に響く。
1人足りないのは、当然櫻井が恥ずかしがったためだ。
ポージングも練習させられていたのだが、それのせいか満足に出来てやしない。
だって恥ずかしいだろ…!と一歩ひいた所で櫻井は、ヘルメットで隠れている顔をさらに覆った。

「もー!ブルー!ちゃんとやってって言ってるじゃん!」
「ブルー!俺だってやなんだよ!」
「慣れれば楽しくなりますよ!」

三者三様の答えを聞いて。
実際問題、これを楽しんでいるのは相葉だけのようだ。
一人だけ何も発さなかったピンクに櫻井は顔を向けると、見えていないのになんとなくメットの下で困ったような笑みをしている気がした。

「…ブルー、一緒にやろう?」
「…うん!」

思わず反射的に勢いよく返事してしまって、また横でグリーンとイエローつまり二宮と松本がため息を付いた。

「あんたわかりやすすぎ」

呆れるように、言い捨てられて、でも自分でも正直そう思ったので櫻井は、反対意見は述べなかった。

「ていうか!おい!!!!来たなら来たでこっちに挨拶しろよ!!」

のんびりと、ポージングを決めた後、わいのわいのと、円陣を組むように騒ぎ出した櫻井たちに痺れを切らしたKAT-TUNのメンバーが声をあげた。
一斉に皆、そっちを一瞬見る。
が、興味がないのかすぐまた櫻井に視線を戻した。

「おい!無視かよ!!」
「だって、あんたよりも、ブルーのが面白いんだもん」
「面白いってなんだよ!」
「えー面白いじゃん!」
「面白くねぇよ!」
「面白いって、自覚持った方が良いですよ?」
「持ちたくねぇ!」
「あのね、ブルーはね、かっこいいよ?」
「…ピンク…ありがと」

最後の一言だけ、また柔らかな口調で返す櫻井。
だからあんた、態度変えるの辞めろってと、松本がまた呟く。
するとまた割り込むような声が聞こえる。

「お前ら、俺を倒しに来たんじゃないのかよ!!」

ふっと、また皆の動きが止まって、それから向き直った。

「そういやそうだった、いやーごめんごめん!あんまりにブルーが面白いから」
「面白くねぇっつてんだろ!」
「だーかーらーポージングはやれば慣れるんですってば」
「ブルーはかっこいいよ!」
「ピンク…!」
「だからあんたわかりやすすぎるんだってば!」

結局また、元の円陣を組むような体勢に戻りかけたところで、悲痛な叫び声が聞こえる。

「こっちに集中しろよ!お前ら!!」

皆は、また動きを止めると、仕方がないなぁという風にまた敵に身体を向けた。

「早くしてくださいよ。面倒くさいなぁ」
「なるべく時間かけて自給上げないと損なんだから、ゆっくりでいいんじゃない?」
「ねぇねぇ、ピンク、俺かっこいい?」
「うん、かっこいいよ?」
「あーもーあんたらいい加減にし…」

「うるさい!!!!!こっちに集中しろって言ってんだろ!!」

どいつもこいつも、無視しやがって!とブツブツ呟きながら、なにやら銃のようなものをこちらへ向けてくる。
ん?銃のような?櫻井は首をかしげてそれから、メットと同じくらい顔を青くした。

「いや、銃のようなって言うかアレ銃じゃん!!!」
「あー忘れてた、はい」
「は?」

櫻井のツッコミをよそに、また相葉から差し出されたのはブルーの、これもまた銃の様なもの。

「これが、翔くんの武器ね!」
「え!いや!こんなの怖くて使えねぇよ!!」
「へっきへっき!慣れれば簡単!持って持って」

軽々しげにそれを櫻井に持たせると、相葉は、ほら引き金引いてみてよ!と無理矢理引き金を引かした。
バシュー!と音が出て、水が勢いよく飛び出した。

「…水鉄砲かよ!!!!」
「ちなみに俺はタバスコがでるよー」
「俺は辛口カレー」
「俺は青汁」
「僕は…」

と言いながら、大野はピンクの銃を取り出した。
そうして、そのまま目の前でまだぷりぷりと怒っているKAT-TUNの1人に向かってそれを、放つ。
バシュッと音を立てて飛んだそれは、ものの見事に顔にヒットした。

「ひぎゃあああああああ」

ヒットした途端、カエルを潰したような叫び声をあげて、その場にKAT-TUNは倒れこんだ。
櫻井はその威力に呆然として、大野とそのピンク色の銃を見る。
大野は困ったように笑った。

「…ピンクの、これ、なんなんだろうね?」

いつも何かよくわかんないんだよねーと付け足しながら、構えていた銃を下ろす。
得体の知れない真ピンクの液体を顔に浴びたKAT-TUNはゴロンゴロンと床を転がって、力尽きた。

「……こわっ」

櫻井はピンクの銃を見つめて、ブルリと身体を震わす。
誰も知らないその液体、自分が浴びる側の人間でなくて良かったと心底思った。

「まぁ、これで今日は一件落着ですね!」

二宮がKAT-TUNの近くによって本当に意識がないかを確かめるように、足で身体をつんつんと突付く。
動く気配の見えないそれは、完全に落ちているようだった。

「やったー!!じゃあ今日はこれで撤収!おつかれさ〜ん!」
「え?捕まえるとかしなくて良いわけ?」
「良いの良いの。俺らの仕事は、とりあえず出てきた奴らの気を失わせたら良いだけ」
「…それだからまた逃げて、同じこと繰り返すんじゃねぇの?」
「あのね、ブルー」

イエローのヘルメットをかぶった松本が、ため息を吐きながら、諭す。

「逃がさないと、俺らの仕事なくなるじゃん。時給もらえねぇだろ?」

…それはもっともな話だ。
櫻井はそれに妙に納得して、倒れこんだKAT-TUNを覗き込んだ。
Nと書かれた額当てがピンク液体の下に見えて。
櫻井は、なんだかとても気の毒な気持ちになった。