神風戦隊アラシ 第8話




KAT-TUNのもとを出ると、日が暮れていた。
随分と時間が経ってしまったみたいで、みんなに心配をかけてしまったかも…と、とりあえず櫻井は基地へ戻ることにした。
相変わらず派手な、悪目立ちする趣味の悪い建物に足を踏み入れるとゆっくりと扉を開ける。
すると、テーブルの真ん中に櫻井の写真を置いて、泣いている二宮と松本と相葉を見つけた。

「うう…ブルーが、翔くんがやられてしまいました…」
「翔くん、良い奴だったのに…ヘタレだったけど」
「うー…翔くん、ごめんね…ごめんね…安らかにねむ」
「いやいやいやいや!生きてるから!」

勝手に殺されそうになっていた櫻井は慌ててその輪に入り込む。
3人は一瞬驚いた顔をして、それから面白くなさそうに舌打ちをした。

「なぁんだ、もう帰ってきちゃったの?」
「はぁ!?」
「KAT-TUNに間抜けにもやられて捕まったって聞いたんですけど、帰ってきちゃったんですか?」
「帰ってきちゃ駄目なのかよ!?」
「いや、良いけど。もっとこう、感動的な登場とかできねぇわけ?」

この野郎…と握りこぶしを握りたくなる扱いに、櫻井は3人を睨み付けた。

「ていうか、助けに来るとか考えなかったわけか!?」
「えー?めんどうですよ、そんなの」
「は?」
「だって、やられた翔くんの責任だろ?しかも俺ら忙しいっつったし」
「俺だってねぇ、わざわざ集まるだけは集まってあげたんだよ?風邪引いてたのに」

どこがだよ!?ぴんぴんしている相葉をまた睨みつけて、櫻井はため息をついた。
こんなやつらにちょっとでも期待するほうが間違っているんだ、と櫻井は自分を無理矢理納得させて。
KAT-TUNのほうがよっぽど心優しかったなぁ…なんて思って、また泣きたくなった。

「…ところで、智さんは?」

この気持ちを癒すべく、ときょろきょろあたりを見渡すが、その姿が見えない。
更衣室にでもいるのだろうか、と覗きかけると、松本が口を開いた。

「大野くんなら、帰った」
「はい?」
「眠いから、帰って寝るって」
「………」

…せめてこの場にくらいいてくれるとかさぁ!と櫻井は切ない気持ちでいっぱいになった。
ちくしょう、KAT-TUNのほうがよっぽど入りたい。
もうこんなとこ、やめてやる!!櫻井は気持ちを固めて、宣言しようとした。

その時。

「あの、俺!」
「あー翔くん、おかえりー!」

趣味の悪いドアから、入ってきたのは大野だった。
大野は櫻井を見つけると、嬉しそうに駆け寄ってくる。
そうして、目の前に立つと上目遣いで櫻井を見上げた。

「…今日は、ごめんね?」

櫻井の動きが固まる。

「あのね、お詫びにね、今日の晩御飯、豪勢にしようと思うから、何が良いか聞きに来たの。ね?何が食べたい?」

固まっていた櫻井がその言葉に、ふにゃと顔を崩れさせた。

「俺、ハンバーグがいいなぁ」
「そう?じゃあ買い物行って来るから、先帰っててよ?」
「いいよ、荷物もちにいく」
「疲れてるでしょ?」
「ううん、全然平気!一緒に行くよ!」

ええ〜いいのに…と、まるで新婚のような会話をしている2人に後ろの3人がため息をついた。

「砂吐きそう」
「相変わらず、態度違いますしね、翔くん」
「翔ちゃんって、実は頭悪いよね」

相変わらず後ろではいちゃいちゃと音が聞こえそうなほどの甘い時間が流れている。


今日も神風戦隊アラシは、平和だ。