WHY?
「どうして翔くんは、俺のこと好きなんだろうね?」
撮影の合間、今日はこの組み合わせでよろしくねと言われて、智さんと俺だけの待ち時間。
ぼんやりと年下3人が撮影しているのを見つめながら、唐突に呟かれた台詞に。
口に含んでいたコーヒーを噴き出した。
「あーあ、翔くん、汚いよ」
ティッシュ、ティッシュとパタパタとその辺を探って。
小さなナプキンを見つけて、俺に差し出す智さん。
俺はそれを受け取って、喉をむせさせながら、口元をそれで拭く。
そんな状態になった原因の智さんは、しょうがないなぁと言わんばかりの目で俺を見ていた。
いったい誰のせいだと思っているのか。
「…いきなりなんなのさ?」
「翔くんってさ、俺のこと好きじゃん?」
「いや、あの、はい?な、なにいって?」
「あーはいはい、わかってるから。ごまかさなくていいよ」
「いや、いったい何をわかってるって?」
「だから翔くんが俺を好きなこと」
「いや、そりゃ、まぁ、好きだけど…」
嵐だし、仲間だし、尊敬してるところもあるし。
…と続けてみたものの、本当は特別な意味でもすきなのだけれど、と櫻井は心の中で続ける。
ずっとずっと密かに暖めてきたその気持ちは誰にもばれることはなく、今日と言う日まで持ち続けてこられた。
…はずだったのだけれど。
「いや、そういう意味じゃなくて、さ。翔くんって俺のこと、抱きしめたいとかキスしたいとか食べちゃいたいとか思ってるだろ?」
ぶっ…と再度、自分の気持ちを落ち着けるために飲んだコーヒーを吐き出す。
食べちゃいたいって、あんた!そんなこと…思ってないことはないけれど。
智さんはしかめっ面をして、こちらへ向き直った。
「さっきから汚いなぁ!かかっちまっただろうが!」
さきほど見つけたナプキンを智さんは、今度は自分の顔へと押し当てる。
「ご、ごめん…」
俺は怒られて、あやまる。
けれど心の中はパニック状態だった。
なんで、なんで、ばれてんの?
「…翔くんってさ、正直、すっげ、わかりやすいんだよね」
「え?」
「今も、すっげぇパニクッてるのわかるし」
本当、面白いよね。
そう智さんは言うとくすくす笑う。
俺はどうしていいかわからなくて、目をしばたかせて、智さんを凝視していた。
「ね?なんで俺のこと好きなの?」
「な、なんでって、聞かれても」
どうしてこんなにもこの人は、普通なのだろうか。
まるで慌てている自分が馬鹿みたいに思えてくるほどの平常な反応に、さらに俺の心はあせった。
「わかんないの?」
「わかんないって言うか、あの、その」
「もーはっきりしないなぁ」
智さんは、頬を膨らますように拗ねた仕草をする。
本当にこの人は自分よりも1つ上なのだろうか、と首を傾げたくなると同時に、そのあるまじきかわいさに胸を打たれて。
だけどさらにどうしていいかわからない俺は、あのだとか、そのだとか。
言葉にならない言葉を繰り返していた。
智さんは、その状態の俺を見て、膨らましていた頬を緩め、笑う。
「まぁ、でもわかんないよね」
「え?」
「だってさ、俺もわかんねぇもん」
「な、何が?」
「俺が、どうして翔くんを好きなのか」
カタリと手に持っていた紙コップのコーヒーを床に落とす。
口を多分情けないくらいにあんぐりあけて、顔を真っ赤にして、智さんを見つめると。
智さんはいたずらっ子のような顔で笑った。
「知らなかった?僕も、翔くんが好きなんだよ?」
智さんはそういうと、きょろきょろと辺りを見回して、椅子から立ち上がると。
ふわりと俺の前髪を手で持ち上げた。
そしてそこから見えた額に、唇の感触。
今度はガタリ、と椅子から転げ落ちた。
「…次、俺ら呼ばれたみたいだよ?先行ってんね?」
智さんはすぐに振り返ると、ぱたぱたと走り去って行った。
あの人に、かなう日は来るのだろうか。
自分で書いたはずだと思うのに、全然覚えてない…。
まさかとは思うけど、もし私が書いたんじゃなかったらすみません…笑。