fractal




まつもとってかわいいな。


そういわれてむっとして、そんなことねぇよって言い返した。
よっぽど言った本人の方がかわいいと思うのに、その認識はグループを組んだ頃から変わってない。
むしろ強くなった、と言った方が正しいほどだ。
年々、としをひとつひとつ重ねていっているはずなのに段々と幼くかわいくなってくる。
本当に不思議な人。
そんな人にかわいいなんていわれるのは心外で、そんなことあるよ、と言い返したその人物にまたさらに否定を述べた。

「俺よりも、大ちゃんのがかわいいだろ」
「僕よりも、松潤のがかわいいもん」

ぷくっと頬を膨らまして、まるで子供のようだ。
ふっと、それに俺は笑みをこぼすと、そのふっくらとした頬に指を伸ばしてひっぱる。

「ひたひ、ひたひよ、まつずん」

自分より小さなその存在は、頬を引っ張る俺の腕を叩く。
いつも困ったような表情をしている顔がさらに困った顔になって、さらに面白くなって強く引っ張った。

「ひーたーひー!!!」

暴れるように叫ばれて、やっとのことで離してやると、大野は両手で自分の頬をさすった。

「赤くなるじゃねぇか!ばか!」

睨むように上目遣いで見られて、あまり迫力はないなぁと思う。
本気で怒らせたら怖いのはわかっているけれど、そんな怒りをこれくらいのことでぶつけてくるはずはないから。
俺は安心して、その姿を笑った。

「笑ってんじゃねぇよ!」
「だって、ほっぺた真っ赤」

そう言って、頬を指でつつくと、さらにまたそれを膨らませた。

「誰のせいだと思ってんだよ!」
「俺かな?」
「開き直ってんじゃねぇよ」

ぶつぶつと文句を言いながら、仕返しだとばかりに頬に指を伸ばされる。
俺はそれを軽くよけて、腕を掴んだ。

「はーなーせー!つねらせろー!」
「やーだよ」

からかうようにして、舌を出すと、今度は足を蹴られた。

「って!それ反則だろ」
「おめぇがわりぃよ!」

なんだとぉ!とじゃれるようにして、ケンカをする。
お互い、怒った顔は1つもなく、どちらかと言うと笑っているが。
結局これも大野の好きなスキンシップのひとつなのだろう。
そう思って、大野と遊んでいるとふっと目の前に影が落ちる。
ぱっと視線をそちらに向けると、櫻井が挑むような目線でこちらを見つめていた。

「…松本、なに智さんいじめてんの?」
「いじめてねぇよ、いじってんだよ」
「…松潤、それってどっちでもひどい」

大野はそう言って、じたばたと暴れた。
腕はまだ俺が掴んだままで、動きにくそうだ。
櫻井はその手を見ると、また不機嫌そうに眉をしかめる。

「…離してやれよ」
「いやだね」

どうして櫻井にそんなことを言われなくてはならないのか、櫻井には関係のない話だ。
これはスキンシップで、大野だって本気で嫌がっているわけではない。
そんなことくらい櫻井にだってわかっているはずなのに。

…まぁ、ただのやきもちだろうね。

あまり普段、こんな風に大野とじゃれあう事が出来ない櫻井にとって、羨ましいのか、妬ましいのか。
今にも殴られそうなその目に、俺はまた笑みを溢した。

「はいはい、離しますよ。大ちゃん、ごめんね?」

櫻井から視線を外して、大野に戻す。
大野は、すんなりと離した手に少しだけ驚きながらも、笑った。

「しょうがねぇから許してやるよ」

そう言って、くしゃりと頭を撫でられる。

「…智さん」

すると、一連の動作を黙ってみていた櫻井が、また声を出す。
大野は振り返って、なに?と口を開いた。

「…なんでもねぇ」

振り返って、微笑まれたせいだろうか、言いたかったであろう何かを櫻井は飲み込む。
そ?と首をかしげて、変な翔くん、と笑った大野が、松本には一番かわいく見えた。





潤智にしようと思って翔智になった。2人は付き合ってるのかいないのか。どっちでもいい。