01:出会い
出会いは多分、僕が5歳で、君が4歳の頃。
1つ年下で、かわいい笑顔の君を僕はすぐに好きになった。
お隣に越してきたのよ、仲良くしてあげてね?と君の母親が僕に手を差し出したその時から。
僕は、君と仲良くすることを決意した。
お隣の家の前で、今朝も翔くんが出てくるのを待つ。
眠たい目をこすって、ぼんやりと空を見上げて、良い天気だなぁなんて思う。
こんな良い天気の日には学校など行かずに、どこかぽかぽかと暖かなところでのんびりしたい気分だ。
そんな気持ちを振り切るように、んーと背伸びをして。
だけどそれにはあまり効果はなくて、欠伸をひとつこぼす。
「智さん…すげぇ欠伸」
いってきますという言葉と共に、玄関口を開けて出てきた翔くんが、いつの間にやら横へ立っていた。
「おはよー…翔くん。今日も良い天気だねぇ」
「おはよ、今日も眠そうだね?」
そうおかしそうに言いながら、寝癖ではねた僕の髪をちょいちょいと直す。
まるで子供のように扱われて、少しむっとした。
いつくらいからだっただろうか、多分翔くんが高校に入った頃から、僕たちの立場は逆転するようになった。
翔くんは中学2年生くらいまで、その歳の平均身長よりもはるかに小さな身体をしていた。
僕はその時の平均身長くらいだったから、翔くんは見上げるものではなく、屈みこんでのぞきこむような存在で。
だけれどその後、いつの間にやら身長を並べ、そしてついには見上げる存在になっていた。
その頃からだっただろうか、守っていたつもりの僕が気が付けば守られるようになっていたのは。
ほんのすぐ横に立つ肩を見比べる。
がっしりとしたその骨格と、大人びた表情。
小さな小さな君を守っていたナイトのつもりだった僕は、それが寂しくもあり嬉しくもあった。
じっと見つめてそんなことを考えていたら、その表情を覗き込まれる。
「俺、顔になんかついてる?」
「いや、大きくなったなって思って」
「…いつと比べてんのさ。智さんより大きくなってもう2年くらい経つじゃん」
勝ち誇ったような表情でそう言われて、またむっとする。
「何か悔しいよね…」
そうポツリと漏らしたら。
「俺は嬉しいよ」
だって身長くらいでしか、勝てないじゃん。
そう言って笑うと翔くんは、ぽんぽんと頭を叩いてきた。
「…何言ってんのさ、いっぱい勝ってるじゃん。身長も体重も成績も、頼りになるところも、全部」
僕よりも数倍出来たところばかりのくせに。
悔しくなって、少し歩調を歩めて置いて行こうとしたら、すんなりと追いつかれる。
ほら、こんなところだって、ひとつだってかなわないのに。
「…言うけど、俺、負けっぱなしだよ?」
そう言って、苦く笑うから。
「勝ちっぱなしのくせに、よく言うよ」
また言い返したら、今度は困った顔をして笑っただけだった。
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